沖縄旅行随想 2011-4-26 15:21:07
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人間の感性はいろいろなものを見て、いろいろなことを経験して、その度に感じ取ったさまざまな感情によって鍛えられるものです。名所旧跡を訪れ、何百年も前、何千年も前の遺跡を目にするときに、驚嘆、感動、感傷などの感情が涌いてきてしまうことはよくあります。その多くの場合はおそらくその遺跡の背後に潜められた歴史、その歴史に関わる人物達への共鳴からきているものではないでしょうか。
 2010年11月に沖縄で行われている和僑アジア大会への参加をきっかけに、私は初めて沖縄を訪れることになりました。沖縄は過去中国大陸の文化に影響され、その跡はいまだに色濃く残っているとよく言われています。百聞は一見にしかずで、琉球王国の幾多の興亡を伝える歴史の証人である首里城はいままで見てきた日本の伝統的なお城、例えば名古屋城、松山城、高知城などとはまったく性質の異なる建物です。古来の建築はおそらく現代の建築よりはるかに地域密着性の強いもので、その土地の気候風土だけではなく、その土地柄、もしくは国民性もよく反映しているのです。小高い丘に聳え立つ石材で築かれた日本の伝統的なお城は慎重、謙遜、辛抱、質素というイメージに対して、首里城の色調は主に朱色と金色で、それは中国の何千年の歴史のなかでは皇帝の権威の象徴である色です。もし、従来の日本のお城に用いられた原色の木材、石材は内面指向で、内向的な性格を現すものだとしたら、存在感をアピールする鮮やかな朱色と金色は富みと権力の誇示で、それはおそらく外面指向の類に属するもので、外向的な性格の現しです。そのように考えれば、琉球王国は何百年にわたって中継貿易で栄えたことには何の不思議も感じなくなります。その外向的な性格は商人にとっては欠かせない資質だからです。
 真っ青な空の下で輝く壮大な建物、ゆっくりと時間が流れる落ち着いた空気、現在の首里城はどこにも平和的な雰囲気が漂っています。一方、ご存知のように人類の歴史は文明の創造と破壊の繰り返しで、ほとんどの遺跡は過去せい惨な戦いが繰り広げられた戦場でもあります。そういう意味では首里城も例外ではありません。
世界第二次戦争の末期に、アメリカは長崎、広島と日本の本土に二発の原始爆弾を落としたことはよく知られているが、沖縄戦については中国ではほとんど知られていません。沖縄に行く前に、多くの民間人が巻き込まれた二次世界大戦における日本国内での最大規模の陸戦、集団自決も多く発生したなど、友人から始めて沖縄戦について聞きました。そんな残酷なことは果たしてありうるかと私は半信半疑で知人の話に耳を傾けたが、沖縄県立博物館で資料文献を見て、和僑会特別講演の講師に勤めたカリスマガイドの崎原真弓さんが戦争についての話しを聞いて、友人の話した沖縄戦はすべて真実であり、血の河と人間の底知らぬ悲しみを要求するのは戦争だということは身にしみて分ったのです。
崎原真弓さんが沖縄戦では幼い子供を守れない母親の悲しみを語っているパフォーマンスを見て、観客の多くは涙を落としました。人を愛し、人に愛されたいのは人間が生まれ備えている本能だが、この基本的な願望は戦争によって奪われてしまうものです。人間が生きていくうえで愛する人を守れない、愛する人を失うことほど大きな悲しみはありません。『論語』のなかに出てくる「己所不欲勿施於人」(己の欲せざるところ,人に施すなかれ)という文句はただの時代遅れの古い東洋思想ではなく、それは洋の東西を問わず今現代の道徳規範にもかない、人間のマナーの出発点ではないかと思います。つまり、自分がしてほしくないことは人にするな、自分は悲しくなりたくなければどうして他人を悲しませるかということです。

 

この間、浅田次郎先生は講演会のなかで歴史を知ることが大事だとおっしゃいました。それは過去の歴史があるから、現在の自分がいるからだと。私も歴史が大事だと思います。歴史は鏡です。歴史を変えることはできないが、その歴史から教訓を学び、その中から自らの歩むべき道を探ることは可能です。人類の長い歴史の流れを遡ってみたら、一人の個人の存在はどれほど微々たるものか、人間の一生はどれほど一瞬にもすぎない短いものなのかはよく分ります。したがって、いかにこの限られた人生を悔いなく有意義に過ごすことが大事です。苦難と挫折のなかからも常に自分に感動を与えてくれる美しきものを見出し、できるだけ不愉快な経験を忘れ、人の善意だけを覚えて、心が温まる記憶を多く蓄積することで心の安穏が得られて心が自由になれる人生に繋ぐのではないでしょうか。

 

筆者 プロフィール
呂 毅(Lu Yi)

  北京師範大学外国語学部日本語科卒業
東京外国語大学地域文化研究コース博士前期課程入学卒業
現在NGF(米国ゴルフ財団) WORLD Academy&Club in China マネージャー
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