歴史の動きの中から見る現在の中国 2011-4-26 15:14:41
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浅田次郎講演会ついての感想

10月23日に、浅田次郎先生は「『蒼穹の昴』の世界」というテーマで、北京外国語大学で千人以上も集まる大きな講演会を行う予定だったが、中国各地で行っている反日デモが原因だと言われ、結局規模を縮小して長富宮飯店で行われることになった。名前も「浅田次郎先生を囲む会」に変わった。浅田次郎先生は中国の歴史と文学に詳しく、近代の歴史上の人物に対する独自の解釈が非常に興味を引くものだった。個人としては身近で浅田次郎先生の生のストーリーが聞け、身近で浅田次郎先生を見ることができるのは意外な喜びだったが、一方、こんなに素晴らしい講演の内容はもっと中国の人に聞いてほしいなあというのも素直な気持ちなのだ。

中国の歴史と古典文学は長い間に多くの日本の人々に親しまれたが、残念なことに現代に入ってからの中国文学は非常に弱い立場にある。近代まで数多くの優れた中国文学者がいたが、一九四九年に第二次国共内戦の終結とともに、一部の文学者は国民党政府について台湾海峡を渡り、一部はそのまま大陸に留まった。大陸に留まったのはプロレタリア文学者だと言われる類の作家だった。
しかし、文化大革命の中、これらのプロレタリア文学者だと言われる人達も残虐な迫害を受けて次々と自殺をしてしまったのだ。魯迅は文化大革命まで生きていられたら、おそらく同じ運命から逃れないだろうとよく言われている。台湾海峡を渡った文学者達は御用文人だと嘲られ、書いた作品もブルジョワ文学というラベルが貼られ、つい近年まではそれらの作品の出版は大陸で禁止されていた。それは自国の文学に対する姿勢だけではなく、中国は過去の長い間、外国文学に対してもブルジョワなのか、プロレタリアなのかという観点だけで評価していた。
学校時代に、日本の代表的な近代作家というと、小林多喜二が真っ先に頭の中に浮かんできた。なぜかというと、夏目漱石、森鴎外、谷崎潤一郎などの名前がなく、教科書に載っている日本の近代文学についての紹介は小林多喜二とその作品の『蟹工船』だけだったから。文学は一旦政治に利用されて政治の道具になると、優れた文学者と作品は育たたなくなる。日本の図書館の中で、「中国現代文学」というラベルの貼ってある棚の前に立つと、いつも窮屈な思いをする。その棚は大体図書館の一番奥の人目に触れない一角に置かれ、ほかの棚に比べたら断然に数の少ない本がひっそりと並べられ、あまり頻繁に人に読まれている気配がないし、それらの本を手にしていても、このような内容ではたして一般の日本人に理解され、受け入れられるのかと疑問に思った。

以前、移民研究をしている先生は、国際結婚の場合、女性のほうは経済的に優位な国の男性へ流れ、例えば他のアジアの国の女性は日本人の男性、日本人の女性は欧米人の男性との結婚などと話した。周りでは、中国人の男性と結婚した日本人女性もたくさん知っていると私が言うと、先生は、ケースバイケースだけど、それはあくまでも主流ではないと話したことを覚えている。上記はグローバル化時代の国際結婚の流れであるが、文化や文学の場合はどうなるだろう。おそらく経済的に優位な立場にある国から発信するのであろう。現在、欧米や日本ではベストセラーになった本、思想に反するものでなければ、すぐ中国語に翻訳されて中国で出版されるのだ。私はよくアマゾン中国で外国文学の売れ筋をチェックしているが、日本の小説は不動の人気で、大体三冊か四冊ぐらいはいつもベストテンの中に入っている。
小説に限らずに、漫画、エッセー、一般教養など、中国で百万部単位で売れた日本の出版物は少なくないのだ。小説の場合は順番で行くと、おそらく村上春樹、渡辺淳一と東圭吾の作品がもっとも人気で、多くの作品は中国語に訳されている。村上春樹の『ノルウェイの森』、渡辺淳一の『失楽園』は中国で出版されてからだいぶ年数が経ったにも関わらず、いまだに売れ筋ランキングの上位に入っている。
『ノルウェイの森』は一九八九年に中国で初めて出版されてからブルジョワ趣味を描いた作品だという評判は一般読者の中で定着している。実際は日本語の原本で『ノルウェイの森』を読むとどこがブルジョワ趣味なのかは不思議に思うかもしれない。それはおそらく本の中に登場する洋風料理の名前、数々の欧米の名曲など、長い間鎖国した中国人にとって新鮮なものだったからだろう。

 

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